骨董品と盆栽
家の近くでちょっとしたイベントが開かれていた。
ふらっと寄ってみたところ、骨董市の旗が目に付いた。
服を出しているところ、古めかしいおもちゃを出しているところ、
ガラス細工のコップや骨董品を並べているところなど、よくある骨董市の風景だった。
骨董品を眺めていて良いなと思ったことがある。
自分にはその良さが分からないが、通じ合う人には堪らないのだろう。
たまたま見つけた骨董品に目を輝かせ、店主と話が盛り上がる。
そんな隠れた楽しみはちょっと羨ましい。
売る側としても、楽しそうだなと思った。
そもそも、骨董品は押入れや蔵に残された、ガラクタのようなものを指す言葉。
値打ちは売り手が勝手に決めるもので、適正価格なんてない。
売れなかったとしても、すぐに値が崩れるものでもなく、むしろ価値が高まる
こともある。
同じ趣味嗜好を持つ人を見つける楽しみもまた、骨董市に秘められているとしたら、
中々崇高な趣味と思える。
仕舞いの時間だったようで、会場を変えてみると盆栽が所狭しと並んでいた。
盆栽鉢に生えた樹は、その大きさ以上に力強さを感じた。
盆栽はどんな風に育てようとか考え、針金とかで枝を曲げたり、剪定したりする
らしいが、育てている人には完成形が見えているものなのかな?
その辺は絵描きにも通じるところがあると思う。
芸術の域となると、中々手を出しにくいが、見るだけならできる。
長い年月と根気の集大成を鉢の上から感じ、いい趣味だなぁと
夕暮れに呟いた。